テクニックは凄いし、若いから声に張りもあった。でも一番良かったのがラガより最後のポップなバジャンだったのはやはり歌詞やメロディーでカバーできない部分が足りなかったのだと思う。彼はわたしには音楽を演奏してるようには思えなかった。フレーズを歌っているように聞こえた。
タブラの人は始終にこにこしていた。タブラの人が嬉しそうな時は、歌う人のリズムがいい時だ。一緒に演奏できて嬉しいのだ。
あのタブラの人を見て、一年半前見た、カルカッタの人の苦い顔のタブラプレーヤーを思い出した。あんな無茶苦茶なリズムをごまかさせるのは可哀想だった。あの時は見ている人も、歌っている人もなんともすっきりしないコンサートだった。