山伏姿に身を隠した義経の逃避行のクライマックスである。
義経を懸命に守る弁慶と、知恵と温情に満ちた富樫との緊迫したやり取りが見どころ。
弁慶が義経を叩くところは切なくて、まるで日本の文化を凝縮したような場面で、関わる人たちの心情がとてもわかりやすく出ており、こういう清々しい日本の作法は黒澤明監督の映画によく出てくるように思う。最後の弁慶が飛び六方で退場していくところは江戸の町で道楽でこれを真似する人が沢山いたんじゃないかな。
黒澤明監督『虎の尾を踏む男達』をもう一度見た。弁慶役の人は他の黒澤明監督の映画に出てこない人で喋り方がお経みたいで何言っているのかほどんどわからない。
この役者の人たちは全員徴兵されずに太平洋戦争末期に東京に残っていた人たちなんだろうか。