Unconscious, dream, chance, collective consciousness
Zentai=
Erasing identity, collective consciousness, inner world, sense of self as a whole, unreal image
ところで,戦前のアヴアンギャルド運動に直結するような動向は, ヨー ロッパのようには破壊しつくされることのなかったニューヨークで,早々 と 1950年代以後に見られるようになる。カプラウなどのハプニング,ケー ジの音楽,ポップ・アートなどもその系統で論じられる。
とくに主として美術家たちによる「パーフォーム」する表現活動とでも言うべきハプニン グの流れは, ドラマのない上演への道を推進した。その流れから「演技す る J 創造活動への音楽家たちの参入,映像その他のメディアとのコラボレ ーション,あるいはセラピー活動との接触,個人によるさまぎまの形態の ソロ上演活動などが起こり,それらが 1970年代には一括していわゆる「パーフォーマンス」と名付けられ,従来のドラマとは異なる上演ジャンルとして認められるようになる。この過程でスタインの与えた影響力を見逃す わけにはいかないのだ。
「ノマーフォーマンス J も弁証法的アクションのない,いわば詩的な演劇 と呼ばれたりイメージの演劇と呼ばれたりするが,要は従来の物語的連続性や心理的統ーという構造を脱構築した時間と空間の使い方にある。ホイ ヴ、エル( H.M.Heuvel) に言わせると「映写技術や,古代あるいは非西欧 の演劇伝統の影響を受けながら,コラージュ,同時空間,ブリコラージ ュ,タブローの構造を用いつつ,流れかつ継続する時間帯としての,また 関連した空間の時間くイヴェント〉としての,ベルグソン的,アインシュ タイン的な時の感覚を提示する」ものであり,そして「これらのアーテイ ストにとって時間と空間は,ガートルード・スタインにとってそうだった ように,いま現在の現在(presently present)となるような何かになって いた。」 (10)
これは,スタインが 1913年にはじめて劇を書いたときのモチヴェーショ ンのキーワードとして使った「風景」という考え方に直結する特質をも っ。ここで「風景」とは視覚的ばかりでなく聴覚的な意味も含んでいる。 これはスタインの初期の代表作が,複層的な人聞の声を繰り返し響かせる ように導入して風景の一部としていることからも,あきらかである。この 風景の中には,他者との関係があり,時間の交錯する点があり,全体の構 造がある。